今や日本だけでなく、世界での死因ナンバー1である『ガン』。
なので、
「ガンで死にたくないな〜」
「ガンになったら物凄い治療費がかかるな〜」
と、そんな不安を抱えている人も多いかと思います。
で、今回は「ガンの発症する一番大きな要因って結局なに?」。今日はそんな話をしていきます。
また、そこからわかった「ガンで死なない為にできる2つのこと」も解説しますので、ぜひご参考ください。
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今回は2017年のジョンズ・ホップキンス大学からの論文を元に解説していきます。
ガンになる最大の要因は『運』?
どうやら、私たちがガンを発症する1番の要因は『運』かもしれないようです。
というのも、ガンになる要因は様々ありますが、結局のところ『運』で決まるところが大きいというデータが今回の研究で出ていました。
ここでいう『運』とは、遺伝子のコピーミスのこと。
人の細胞が分裂する時には遺伝子もコピーされて複製されるのですが、確率でコピーにエラーが生じます。
このコピーミスがガンを発症する要因の1つで、単に確率で起きるコピーミスがガンのリスク要因として一番大きいということが今回の研究で示されていました。
ガンの66%は『運』で説明される
2017年に行われた研究では、ガンとの関係が大きい要因について世界69か国のデータが調べられました。
その結果、がんを発症する要因の
- 66%は『運』(遺伝子コピーミス)
- 29%は環境要因(喫煙など)
- 5%は遺伝(ガン家系)
であったことがわかり、ガンになるのは単に『運』によるところが大きいことが示されていました。
どの要素がどれくらい起因するかは部位などによって異なり、環境や遺伝子が大きな要因となることもあります。
ただ、全体的に見ると、細胞分裂時に確率で起こるコピーエラー、つまり不運が起因するところが大きいようです。
細胞分裂が多い人ほど、ガンになりやすい
この研究でもう一つ分かったのは、細胞分裂が多い人ほどがんを発症しやすくなるということ。
これは上記のように、『運』がガンになる最大の要因であるということと一致しています。
どういうことかというと、細胞分裂が多い人ほどその分遺伝子のコピーミスも起こりやすくなります。
なので、相対的にガンのリスクも上がるというわけです。
どれくらいの相関がある?
細胞分裂の回数とガンのリスクとの相関がどれくらいあるのかというと、かなりあります。
ちょっと漠然とした表現ですが、相関の強さでいうとr=0.8となっています。
相関の強さは0〜1で表され、1に近づくほど2つの物事の相関が強いことを示します。
ちなみに、この相関の強さは各国によって少し異なり、それをまとめたのが以下です。
0 - 85+ | 0 - 85 | 0 - 80 | 0 - 75 | |
全体 | 0.80 | 0.78 | 0.76 | 0.75 |
北アメリカ | 0.81 | 0.79 | 0.78 | 0.76 |
ラテンアメリカ /カリブ | 0.73 | 0.72 | 0.70 | 0.66 |
ヨーロッパ | 0.82 | 0.81 | 0.80 | 0.78 |
アジア | 0.72 | 0.71 | 0.70 | 0.67 |
アフリカ | NA | NA | 0.72 | 0.72 |
オセアニア | 0.83 | 0.82 | 0.81 | 0.79 |
※1Cristian Tomasetti et. al(2017)より引用
※2 0-85などの数字は0〜85歳まで生きた場合のガンの発症と細胞分裂の数の相関を表しています。この表からわかることは、歳をとって細胞分裂の数が増えるほど、ガンのリスクも高まるということ。
表は横にスクロールできます。
それぞれの地域で相関の強さは異なっていますが、基本的にはどこの地域でも細胞分裂とガンの発症に強い相関(0.7~8)が見られます。

『環境』が大きな要因となる部位も
ここまで、ガンの発症は遺伝子のコピーエラーが大部分の要因とお伝えしてきましたが、実は見過ごせないのが、環境要因です。
繰り返しになりますが、ガンの発症要因は以下の3つでした。
- 66%は『運』(遺伝子コピーミス)
- 29%は環境要因(喫煙など)
- 5%は遺伝(ガン家系)
上記では最も大きな『運』の要素に目が行きがちですが、喫煙などの環境要因も全体の1/3ほどを占めています。
なので、ここで少しだけ環境要因とガンについて解説していきます。
環境要因が主な原因になるガン
今回の研究で示されてた、環境要因が最も大きく影響しているガンは以下の5つ。
- 肺ガン
- 皮膚ガン
- 頭頸部ガン
- 胃ガン
- 子宮頸ガン
以上5つが環境要因が大きな要因であるガンだということは、なんとなく想像がつきそうですね。
例えば、肺ガンであれば、タバコを吸うなどの環境要因が密接に関わっていることはよく知られています。(頭頸部ガンも喫煙と関係しています)
また、皮膚がんにしても紫外線を浴びすぎることで発症することも有名ですね。
そんな感じで、5つのガンは遺伝子のコピーミスよりも環境要因によるところが大きいようです。
環境要因によるガンの発生メカニズムが、すごくざっくりいうと、タバコなどに含まれる有害物質がDNAを損傷させるなど、がんの発生メカニズムのさまざまな段階へ関与するからです。
『運』でガンになるなら、好き放題食べて飲んでいいの?答えは...
環境要因が30%もガンの要因を説明すると言っても、原因の2/3を占める『運』のインパクトが強いですよね。
なので、『運』でガンになるなら、好き放題食べて飲んでして人生を満喫した方が得じゃない?
そう考える方もおられるかと思います。
でも、私の結論は「NO」です。
絶対に『NO』です。
その理由を以下で解説していきます。
理由①:環境の要素が見過ごせない
ここは先ほども解説しましたが、やはりガン発症の要因において環境要因が占める30%を無視できません。
さっきは触れませんでしたが、今回の研究では胃ガンの発症も環境要因が最も大きな要因としています。
胃ガンのリスクを上げる主な環境要因は以下の5つ。(参照)
- 塩分の取り過ぎ
- 喫煙
- 赤身肉(牛肉など)
- 高脂肪食
- 過度な飲酒
このように、胃ガンを誘発しうるモノの中に、私たちの大好きな塩分、脂肪、お肉やお酒が入っています。
なので、これらを好き勝手食べることで胃ガンのリスクを上げかねないため、好き勝手に食べて飲んでしすぎるのはおすすめしません。

理由②:コピーミスは避けられないが、無駄にリスクは上げないことが大事
で、2つ目の好き勝手に食べて飲んでを勧めない理由としては、日頃の生活によって遺伝子のコピーミスの発生をしにくくする(リスクを無駄に上げない)ことができるからです。
細胞の複製時に遺伝子コピーのエラーが出る主な原因はいろいろありますが、体内の活性酸素による損傷がその一つです。
活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素が通常よりも活性化したモノです。(参照)
活性酸素は、私たちの体をウイルスなどの外敵から守る免疫機能や感染防御などの重要な役割を担っています。
しかし、活性酸素が体内に増えすぎると遺伝子の損傷や細胞障害、細胞死などを誘発することがわかっています。
なので、遺伝子のコピーエラーを誘発する活性酸素を体内で増え過ぎないようにすることで、遺伝子コピーのエラーの確率をできる限り低くすることができるのです。
活性酸素を体内で増やし過ぎないためにできることについては、以下の「ガンで死なない為にできること」でお話しします。
ガンで死なない為にできること2つ
では、日本人の死因第1位であるガンで死なないようにする為に私たちができることについてお伝えします。
ガンで死なないようにする為にできることは以下の2つです。
- 健康的な食生活(特に抗酸化物質を意識)
- 定期的に検診に行く
それぞれ解説します。
できること①:健康的な食生活(特に抗酸化物質を意識)
ガンで死なないようにする為にも、まず食生活をきちんと行うことが大切になります。
特に、遺伝子のコピーエラーを誘発する活性酸素を減らすための食事がカギなので、その為には抗酸化物質を意識しましょう。
抗酸化物質とは、活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いたりする物質のこと。
で、どういったものに抗酸化物質が多いかというと、野菜や果物です。
なので、結論、野菜や果物を意識的にたくさん食べるようにしましょうということです。
野菜の抗酸化力を爆上げする食べ方
抗酸化物質が豊富で活性酸素の除去などに役立つ野菜ですが、ある一手間を加えるだけで抗酸化力が爆上がりします。
その方法については以下の記事で解説しているので、興味のある方はぜひご参考ください。
関連記事 野菜の抗酸化力を最大で100倍にする方法
できること②:定期的に検診に行く
そしてガンで死なない為にできることの2つ目は、しっかりと定期的に検診に行くことです。
なんか当たり前のことに聞こえますが、意外と検診に行っていない人も多いのではないでしょうか?
実際、国立がん研究センターの統計によると、がん検診を受けている人は男女とも50%程度かそれ以下となっています。
「ガンは早期発見が大切」とはよく聞くことですが、早期発見することで大幅に生存率が高まります。
まず、下のグラフをご覧ください。

出典:nippon.com
このグラフから、早期発見(ステージ1)の場合はかなりの生存率なのに対し、ステージが上がる(発見が遅れる)につれ10年後の生存率が大きく減少していることがわかります。
コピーミスが避けられないなら、早期発見
今回解説してきたように、食生活などを正すことである程度ガンのリスクは下げられますが、やはり単に遺伝子のコピーミスによるところが大きいのも事実です。
なので、無駄にコピーミスが発生しないように食生活を整えて活性酸素を抑制しつつ、確率的に起きてしまったガンは早期発見するようにするのが賢明です。
なので、ガンで死なない為にも、できるだけ定期的に検診に行くようにすることをオススメします。
66%も!?ガンになるかどうかの半分以上は運で決まる?:まとめ
ポイントまとめ
- ガンの発症は66%が遺伝子のコピーミス(運)が原因
- だからと言って好き放題の飲み食いはオススメしない
- 抗酸化物質を意識した食事でコピーミスを誘発する活性酸素を除去
- 確率的に起こるガンは早期発見で生存率を上げる
今回解説した内容はなかなか驚きの結果となっていました。
遺伝子の複製時にコピーミスが起きてしまうのは、今のところ避けられませんが、無駄にそのリスクをあげないようにすることが大切です。
なので「ガンの66%は運である」とはいうものの、しっかりとした食生活をしてできるだけリスクをあげないようにしていかないとな〜と改めて思いました。
皆様も健康に長生きする為にも、ぜひご自愛ください。
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