
- ヴィーガンやベジタリアンってたんぱく質が不足するの?
- たんぱく質が不足しないためどうすれば良い?
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- たんぱく質の役割
- たんぱく質不足の悪影響
- ヴィーガンはたんぱく質が不足するのか
- たんぱく『質』の重要性
- たんぱく質の摂取に最適なレシピ
ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食中心の人は、たんぱく質が不足するとよく言われます。
しかし、本当にたんぱく質が不足するのでしょうか?
そこで今回は、「ヴィーガンやベジタリアンの人がたんぱく質が不足するのか」について解説し、たんぱく質を摂る時の注意点やおすすめのレシピも紹介します。
本記事を参考に、しっかりとタンパク質補給をして健康体を手に入れましょう!
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改めて、『たんぱく質』ってナニ?
たんぱく質とは三大栄養素の1つで、筋肉や内臓、肌や髪など体の部位を構成する成分です。
三大栄養素は他に炭水化物と脂質があり、主に体のエネルギー源となる栄養素です。
また、たんぱく質は酵素やホルモンなどとしても働く、私たちの体にとって欠かせない重要な栄養素です。
たんぱく質は何でできている?
たんぱく質は、アミノ酸という物質がたくさんくっついてできています。
そのため、たんぱく質が体に吸収される時には一度アミノ酸に分解されてから体に吸収されていきます。

アミノ酸の種類と必須アミノ酸
アミノ酸は大きく2種類に分かれ、必須アミノ酸と非必須アミノ酸と呼ばれるものがあります。
必須アミノ酸は人間が体内で合成できないアミノ酸のことを指し、非必須アミノ酸は体内で合成できるアミノ酸を指します。
必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
具体的には以下の9つが必須アミノ酸と位置付けられています。
- バリン(Valine)
- イソロイシン(Isoleucine)
- ロイシン(Leucine)
- メチオニン(Methionine)
- リジン(リシン)(Lysine)
- フェニルアラニン(Phenylalanine)
- トリプトファン(Tryptophan)
- スレオニン(トレオニン)(Threonine)
- ヒスチジン(Histidine)

たんぱく質が不足するとどうなる?
たんぱく質が不足することで、体に様々な悪影響が出ることがわかっています。
たんぱく質不足によって引き起こされるのは、主に以下の5つです。(参照)
- 筋力の低下
- 肌、髪、爪のトラブル
- 骨折リスク増加
- 免疫力の低下
- 食欲の増加

特に4つ目の「免疫力の低下」は、新型コロナウイルスが流行している現在は特に注意したいポイントです。
なので、たんぱく質が不足しないように気をつけましょう。
ヴィーガンはタンパク質が不足する?
では、巷で言われているようにヴィーガンやベジタリアンはたんぱく質が不足するのでしょうか?
結論ですが、注意する必要があるだけで、必ずたんぱく質が不足するわけではありません。
その理由としては、以下の二つが挙げられます。
- たんぱく質の摂取量は肉を食べる人と変わらない
- たんぱく質が多い植物性の食品がたくさんある
それぞれ解説していきます。
ヴィーガンがたんぱく質不足でない理由①:たんぱく質の摂取量は肉を食べる人と変わらない
2019年の研究では、ヴィーガンやベジタリアンとお肉を食べている人のたんぱく質やアミノ酸の摂取量が比べられました。
そこでは、ヴィーガンやベジタリアンの人のたんぱく質摂取量はそれほど変わらないことが示されています。
グラフではこんな感じです。
※黒色が肉食の人の数値で、それ以外がベジタリアンやヴィーガンです。
注目して欲しいのは、一番左のグラフ。
そこで示されているのは総たんぱく質摂取量ですが、ご覧のように、たんぱく質の摂取量は肉食の人とほとんど変わりません。

なぜこういったことが起きているのかは、次の2つ目の理由が関わってきます。
ヴィーガンがたんぱく質不足でない理由②:たんぱく質が多い植物性の食品がたくさんある
たんぱく質はお肉以外はあんまり含まれていないと考えられていますが、実は全くそんなことはありません。
豆や穀物など植物性食品もたんぱく質を豊富に含んでいます。

つまり、植物性の食品からでもたんぱく質を十分に摂取することは可能で、そのことは先ほどのグラフでもよく現れています。
ただ、ヴィーガンやベジタリアンの方がたんぱく質の摂取を考える際に、注意すべきことが1つあります。
たんぱく質は『質』も大事
ヴィーガンの方がたんぱく質の摂取について気をつけておくべき点は、たんぱく質の『質』です。
一般的に、たんぱく質の摂取は『量』ばかりが注目され、『質』に関しては割と無視される傾向にあります。
例えば、

といった言葉を聞いたことがあるかと思います。

もちろん量も大切ですが、質が劣るとその分たんぱく質を摂取して得られる効果が減ってしまうので、ぜひとも気をつけたいポイントです。
たんぱく質の『質』とは何か
たんぱく質の『質』とは、9つの必須アミノ酸のバランスのことを指します。
したがって、それら必須アミノ酸のバランスが良いほど、質の高いたんぱく質と言えます。

なぜ『質』に気をつけるべきか
では、なぜヴィーガンを含め多くの人が、たんぱく質の『質』にこだわるべきなのか。
その理由は以下の2つです。
『質』にこだわるべき理由2つ
- 9つの必須アミノ酸のバランスが重要
- 植物性のたんぱく質は必須アミノ酸のバランスがイマイチ
それぞれ解説していきます。
たんぱく質の質にこだわるべき理由①:9つの必須アミノ酸のバランスが重要
冒頭で少し解説したように、私たちの体は9つの必須アミノ酸を体内で生成できません。
そのため、それらを食事から摂取する必要があり、摂取した分しか体内で吸収・活用されません。
その時、9つの必須アミノ酸をそれぞれバランスよく摂取することが重要になります。
1番少ないアミノ酸の量に合わせてたんぱく質が合成される
私たちの体はたんぱく質を摂取して、それをアミノ酸に分解し、その後に再びたんぱく質に合成し直して私たちの筋肉や内臓など体の部分として使われます。
その際は、一番少ない量のアミノ酸にあった量のタンパク質しか合成されません。
例えば、ある1つのアミノ酸が10mgしか含まれていない場合は、他のアミノ酸が100mgあろうが1000mgあろうが10mg分のたんぱく質しか合成されないのです。
つまり、ある特定のアミノ酸が極端に少ない食品だとその分しか活用されないため、たんぱく質摂取の効果が下がってしまいます。

バランスは『アミノ酸スコア』で判断
必須アミノ酸のバランスは、『アミノ酸スコア』で判断できます。
『アミノ酸スコア』とは9つの必須アミノ酸のバランスを示したもので、アミノ酸スコア100が最大でアミノ酸スコアが高いほどバランスが良いことを表します。

ちなみに、一番低いアミノ酸に合わせてたんぱく質を合成した後に余ったアミノ酸は、分解されて尿として排出されしまいます。
たんぱく質の質にこだわるべき理由②:植物性のたんぱく質は必須アミノ酸のバランスがイマイチ
そして質に気をつけるべき理由の2つ目が、植物性のたんぱく質は必須アミノ酸のバランスがイマイチなものが多いということ。
つまり、アミノ酸スコアが比較的低いものが多いのです。
例えば、豆類だとメチオニンが少ない傾向にあり、穀類だとリジンが欠けています。
なので、バランスを考えずに「たんぱく質を十分摂っているから大丈夫」と思っていたら、実はたんぱく質不足になっていたなんてことも起こりえます。

では、どうすれば植物性の食品からバランスの良いたんぱく質を摂取できるのかについて以下で解説します。
『質』の良いタンパク質の摂り方
様々な食品からタンパク質を摂取することで、植物性の食品からでも『質』の良いたんぱく質補給が実現できます。
例えば、豆類(メチオニン不足)と穀類(リジン不足)を合わせることで、それぞれ欠けている部分を補えるようになります。
たんぱく質が豊富な植物性食品リスト
以下に、たんぱく質が豊富な植物性の食品を記載しておきます。(参照)
カテゴリー | 豆類 | 穀類 | ナッツ類 | 種子類 |
品目 |
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※表は横にスクロールできます。
バランスの良い組み合わせ
では、上記のカテゴリーをどのように組み合わせれば質の良いたんぱく質が補給できるのか。
代表的な組み合わせは以下の3つです。(参照)
- 豆類 × 穀類
- 豆類 × ナッツ類/種子類
- 穀類 × ナッツ類/種子類
それぞれどんなレシピがあるのか、以下で簡単に紹介しておきます。
豆類 × 穀類のレシピ
豆類と穀類を使ったレシピは、以下の通りです。
- 豆と穀物のしょうがスープ
- 豆と穀物のトマトスープ
- 豆と穀物のカレー
- オーツの豆乳割り(筆者おすすめ) など
どれも美味しそうですが、私はほぼ毎日4つ目のオーツの豆乳割りを食べています。

豆類 × ナッツ類/種子類のレシピ
豆類とナッツ類/種子類を使ったレシピは以下の通り。

穀類 × ナッツ類/種子類のレシピ
穀類とナッツ類のレシピは以下の通りです。

上記のレシピを参考に、バランスの良いたんぱく質の摂取にお役立てください。
V-COOKで探すのもオススメ
上記以外にも植物性の食品から質の良いたんぱく質を摂取できるレシピが知りたい方は、ぜひV-COOKをご活用ください。
V-COOKとは、約2000種類ものヴィーガン料理のレシピが掲載されている無料のウェブサービスです。
主役のおかずから麺類やサラダ、スイーツまで様々なヴィーガンレシピが掲載されています。

最終、プロテインもアリ
バランスの良いたんぱく質のためのレシピがあるとは言えど、忙しかったり、料理が面倒だったりする方もいるかと思います。
個人的には自然のモノから摂るのがベターと考えていますが、プロテインも悪くないかなと思います。
というのも、アミノ酸スコアが高い植物性プロテインも多く、手軽に質の良いたんぱく質を補給できるからです。
個人的には、マイプロテインのヴィーガン対応のプロテインが安くて良いかなと思っています。

気になる方は是非一度試してみてください。

ヴィーガンやベジタリアンはたんぱく質の『質』に気をつけよう!:まとめ
今回は、巷でよく言われる「ヴィーガンやベジタリアンはたんぱく質が不足するのか」について解説しました。
結論としては、量的な不足はありませんが質に注視する必要があるようです。
お肉や卵など動物性の食品はアミノ酸スコアも非常に高く、質の面では非常に良いタンパク源です。
ただ、一方で食べ過ぎによる健康への悪影響や、環境への大きな負担が問題視されています。
したがって、今後はヴィーガンやベジタリアンの人だけではなく、植物性の食品から質の良いたんぱく質補給が重要になり、ますます必要になってくるでしょう。