
こんなことを感じていたら、今回の内容はヒントになるかもしれません。
近年、世界中で肥満が急増し、いま世界では20億人以上が肥満もしくは過体重であるとされています。
この肥満が急増した背景にはいろんなことが考えられますが、その中でも最近注目されているのが今回ご紹介する『激うま食品(ハイパーパラタブルフード)』です。
これまで『激うま食品』はファストフードやスイーツなどといった漠然としたモノでしたが、2019年に出た論文が、しっかりと具体的な定義を示してくれていました。
そこで今回は、私たちの食欲を暴走される『激うま食品』とはどういった食べ物が当てはまるのかについて解説していきます。

タップできる目次
今回は、2019年にアメリカ臨床栄養学会誌に掲載された論文に基づいて解説していきます。
『激うま食品』と肥満の関係
まず、『激うま食品』の定義をお伝えする前に、それらの食品と肥満の関係について簡単に解説しておきます。
『激うま食品』と肥満の関係は、主にその依存性が原因とされています。
特に、この手の食品を食べることで脳内で快楽物質であるドーパミンが多く放出され、もっと食べたく感じるようになります。
その欲求からまた食べると再び脳が快感を得てさらに欲求が高まり、食べる→快感→食べる→...の繰り返しになってどんどんと深みにはまっていきます。
その結果、食欲のコントロールがうまくできなくなり、カロリーが過多になって肥満につながってしまうるのです。
『激うま食品』とドラッグは同じ?
実際、『激うま食品』と依存性の高いドラッグにはいくつか共通している点があるようで、
- 脳の報酬系の活性化
- 脳の神経系を変化させる
- 脳が喜ぶ物質が添加されている
- 消費を抑えるよりもむしろ多く摂取する
などなど。
ドラッグとの間に多くの共通点が指摘されています。(参照)

また、こういった食品は人が体重を一定に保つために大切な『セットポイント』をバグらせてしまうので、ダイエット中の人は特に注意です。
関連記事 これだけ!一生リバウンドしないためのセットポイントとは?
と言うことで、ちょっと恐ろしい『激うま食品』ですが、どんなものがこの定義に当てはまるのかを以下でみていきます。
食欲を暴走させる『激うま食品』の定義はこの3つ
今回の研究でわかった脳をバグらせ、食欲を暴走させる食べ物は以下の3つの分類のものです。
- 脂質とナトリウムのコンボ
(脂質が総カロリーの25%以上かつ、ナトリウムが重量の0.3%以上) - 脂質と糖類のコンボ
(脂質が総カロリーの20%以上かつ、糖類が総カロリーの20%以上) - 糖質とナトリウムのコンボ
(糖質が総カロリーの40%以上かつ、ナトリウムが重量の0.2%以上)
※これらの計算方法については後ほど具体例を挙げながら詳しくみていきます。
まぁ世間一般で言われているように、脂質と糖質、塩分が多いのがやばいよねって感じになっていますね。
食欲を暴走させる『激うま食品』の見つけ方
では、上記の3つの分類に当てはまる食べ物の見つけ方を解説していきます。
簡単な流れは、こんな感じです。
- 商品の栄養成分を見る
- 脂質、炭水化物、塩分を見る
- 計算して、上記に当てはまるかを見る
今回は具体例として、「やめられない♪止まらない♪」の某お菓子を取り上げてみます。

出典:公式サイトより引用
この食べ出したら止まらない、シュリンプせんべいの栄養素は以下の通りです。
1袋の内容量 | カロリー | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
シュリンプえびせん | 85g | 423kcal | 19.0g | 57.2g | 1.4g |
※表はそこにスクロールできます。(データは公式サイトから引用)
では実際に計算して、上記の3つの定義に当てはまるのかを見ていきましょう。
計算方法①:脂質とナトリウムのコンボの場合
定義:脂質が総カロリーの25%以上かつ、ナトリウムが重量の0.3%以上)
まず1つ目の「脂質とナトリウムのコンボ」の場合は、以下のように計算します。
脂質の計算方法
- 脂質量(g)に9をかける(脂質のカロリーを算出)
- 上記を総カロリーで割る
- 100をかけてパーセンテージに修正
- 脂質が占めるカロリーの割合が出る
上記で実際にやってみると、
19×9で171kcal(脂質からのカロリー)
171÷423で0.404...となる。
パーセンテージに変換すると40.4%になります。
つまり、シュリンプせんべいの脂質が総カロリーに占める割合は約40%であることがわかります。
ナトリウムの計算方法
- 食塩相当量(g)を2.54で割る(ナトリウム量を算出)
- 上記を一袋の重量で割る
- 100をかけてパーセンテージに修正
実際に計算してみると、
1.4(g)÷2.54 で、0.551...(1袋に0.55gのナトリウムがある)
0.55÷85×100で0.647...となります。
つまり、シュリンプせんべいに含まれるナトリウム量は、総重量の0.6%を占めていることがわかります。
上記二つの数値をまとめると、
脂質が総カロリーの40%とナトリウムが重量の0.6%なので、「脂質が総カロリーの25%以上かつ、ナトリウムが重量の0.3%以上」という条件をバッチリ満たしていることがわかります。
計算方法②:脂質と糖類のコンボの場合
続いては、脂質と糖類の場合です。
定義:脂質が総カロリーの20%以上かつ、糖類が総カロリーの20%以上
同じくシュリンプせんべいを例に計算してみましょう。
脂質の計算方法
脂質の計算は上記と同じで大丈夫です。
繰り返すと、19×9÷423×100で40%という値が出ていました。
糖類の計算方法
糖類は、炭水化物の値を用いて計算します。
糖類の計算も基本的には脂質と同じですが、含まれるカロリー量が異なる点だけ注意です。
糖類の計算方法は以下の通りです。
- 炭水化物1gに4をかける(炭水化物のカロリー量がわかる)
- 上記の数値を423で割る
- 100をかけてパーセンテージに修正
実際にやってみると、
57.2(g)×4÷423=0.5408...
となり、パーセンテージになおすと約54%となります。
つまり、シュリンプせんべいに含まれる糖類のカロリーは、総カロリーの約54%を占めているということになります。
※厳密に言うと、上記の計算は食物繊維等も含まれているため実際はもう少し低くなりますが、そこまで気にしなくて良いかと思います。
以上2つの数値を合わせると、脂質が総カロリーの40%、糖類が総カロリーの54%で、「脂質が総カロリーの20%以上かつ、糖類が総カロリーの20%以上」の基準がこれまたがっつりと当てはまっています。
計算方法③:糖質とナトリウムのコンボの場合
そして3つ目の分類の計算もしてみましょう。
定義:糖質が総カロリーの40%以上かつ、ナトリウムが重量の0.2%以上
糖質の計算方法
糖質の計算方法は、上記の糖類の計算と同じでOKです。
繰り返すと、
52.7×4÷423×100=54.08...
で糖質によるカロリーは総カロリーの54%ほどを占めています。
ナトリウムの計算方法
ナトリウムの計算も上記と同様でOK。
繰り返すと、
1.4÷2.54÷85×100=0.647...
でナトリウムは総重量の約0.65%を占めています。
これら2つの数値を合わせると、糖質が総カロリーの54%、ナトリウムが重量の0.65%となっていて「糖質が総カロリーの40%以上かつ、ナトリウムが重量の0.2%以上」の基準にしっかりと当てはまっています。
結論、科学的にも「やめられない♪止まらない♪」だった
以上、食欲を暴走させる『激うま食品』の基準3つの計算方法を解説しました。
具体例として、みんな大好きのシュリンプせんべいを取り上げてみましたが、3つの基準全部に当てはまっていることがわかりました。

多くの食品がこの3つの特徴に当てはまっている?
今回取り上げたシュリンプせんべいはただの一例に過ぎず、市場には数多くの食品がこの『激うま食品』の定義に当てはまっています。
実際、今回の研究の対象となった7,757の食品のち62%が、少なくとも一つは上記の特徴に当てはまっていたようです。
つまり、半分以上の食品が脳をバグらせる可能性を秘めているということになります。
これだけ激うま食品が出回っていれば、食欲を抑えるのが難しくなるだろうなと思います。

最も多かった特徴はどれ?
今回の研究では、脂質とナトリウムの基準を満たす食品が全体の70%ほどを占めており、1番多かった分類だったようです。
このカテゴリーの例としては、卵料理やお肉料理、チーズディップのような乳製品が代表的なモノとして挙げられます。
次に多かったのは、脂質と糖類のコンボで全体の25%、糖質とナトリウムのコンボは16%を占めていたようです。
脂質と糖類のコンボとしてはケーキやスイーツなどの甘いお菓子類が、糖質とナトリウムのコンボはポテチなどお菓子類などが当てはまるようです。
わからないことはまだある!留意しておくべき3点
ここまで激うま食品の定義についていろいろ解説してきましたが、以下の3点は留意しておいた方が良いです。
- 飲み物に関してはまだわからない
- 日本だとどれくらいかは不明
- 3つの特徴をどのように組み合わせば良いのかはまだ不明
それぞれ簡単に解説しておきます。
①飲み物に関してはまだわからない
今回の研究はあくまで固形の食べ物についての激うま食品の定義です。
なので、今回の3つの分類が飲み物に当てはまるのかは不明な点には注意しておきましょう。
特に、肥満との関係が強く言われている加藤飲料水(コーラとか)は、おそらく今回の激うま食品の定義が当てはまるのかは微妙です。

②日本だとどれくらい当てはまるのかは不明
今回の研究は主にアメリカに流通している食品がメインとなっているので、同じように日本の食品にも当てはまるのかは微妙なところです。
まぁ日本も食の欧米化でアメリカよりの食事にもなってきていますし、そこまでめちゃくちゃ変わるということもないかとは個人的に思いますが。
③3つの特徴をどのように組み合わせば良いのかはまだ不明
最後は、今回の3つの分類のどれとどれが組み合わさると食べ過ぎにつながるのかは不明という点です。
今回のデータは、今まで激うま食品とされてきた食品を調べた結果導き出された3つの基準で、これらがどう組み合わさることで激うま食品ができて食べ過ぎにつながるのかはまだわからないようです。
まぁ、今回取り上げたシュリンプせんべいに関しては全て当てはまっていますので、激うま食品として取り扱っても問題ないかとは思いますが。
やめられない♪止まらない♪の科学的根拠が見つかった:まとめ
今回は、近年肥満や食べ過ぎの原因の一つとして注目されている激うま食品の定義について解説してきました。
やはり、巷でもよく言われているように脂質と糖質、そして塩分が多いものはどうしても人間は美味しく感じてしまうようですね。
今回は扱いませんでしたが、こってりラーメンとかは、脂質、糖質、塩分の塊なので、バリバリこの『激うま食品』の定義に当てはまりそうです。
今後スーパーに行って加工食品を買う際は、チラッと裏を見て今回紹介した定義に当てはまっていないか調べてみると良いでしょう。
本当にそれが食べ過ぎにつながる食品かどうかはわかりづらいかもですが、食品選びの一つの基準にしてみると良いかもしれません。