ダイエットしているのについ食べ過ぎてしまった時に、
「私はなんて意志の弱い人間だ。。。」
と落ち込んだことはありませんか?
また、ダイエットに成功したのにすぐにリバウンドして、
「私はダメな人間だ。。。」
なんてことを思ったことはありませんか?
このように食べ過ぎやリバウンドなどで自分を責めてしまうことは、よくあることだと思います。これは、世間や私たち自身が「個人の意思の弱さ」が食べ過ぎや肥満、リバウンドに繋がっていると考えているからです。
しかし、実際に食べ過ぎやリバウンドは「個人の意思の弱さ」だけなのでしょうか?
そこで今回は前回に引き続き、「食べ過ぎ」の原因について考えていきたいと思います。
http://geeky-foody.com/2019/09/19/eating-too-much/
前回は、「周りの人間」が私たちの食事量に影響するという話でしたが、今回は「食べ物のサイズ」がどのように私たちの食事量に影響を与えるのか、に注目していきます。
食べ過ぎの原因はあなたではない?食べ物のサイズの影響①
「食べ物のサイズ」がどのように私たちの食生活に影響を与えているのか、についての研究は数多くあります。
その中でも、大きく2パターンに分けられます。
1.食べ物のサイズ自体が食事量に影響する
2.食べ物のサイズが私たちの食べる意思に影響
今回は1の「食べ物のサイズ自体が食事量に影響する」という点について解説したいと思います。
食べ物のサイズの影響①サイズ自体が食事量に影響
近年、「食べ物のサイズ」と私たちの食事量に関する研究が盛んに行われています。
そして、「食べ物のサイズが私たちの食べる量に影響する」っていう主張をしている論文は多数あり、ある程度学術界でも結論が出ております。
そこで今回は2015年のメタ分析 (1) を1つご紹介します。
※メタ分析とは多数の論文をまとめてそこから結論を出すという、論文の論文のようなものです。なので、科学的には割と信憑性が高いと言われています。
このメタ分析 (1) では、58件の論文(合計6603人が対象)が評価した結果、
人は大きなサイズで提供されるほど、多く飲み食いする傾向がある
と結論付けられています(細かい部分は長くなるので省きます)。
そして反対に、
食べ物や飲み物のサイズを小さくした場合、食べたり飲んだりする量が減る
なぜこのようなことが起きるのか?
ではなぜこのようなことが起きるのでしょう?
実はこのことについてもある程度の結論が出ています。
我々が大きなサイズで提供された際に食べる量が増すのは、「人間が持つバイアス」が原因であると考えられています。
バイアスとは「偏見」や「先入観」のことで、「ユニットバイアス(単位の偏見)」と呼ばれるものが食べ過ぎになる原因であるとされています。
「ユニットバイアス」を簡単に説明すると、
「人は1つ単位のモノを適切であり、適当な量であると判断する傾向がある」ということです (4)。
例えば、レストランに行ったときにパスタを注文した際に、一皿で出された分は少し多くても(もしくは小さくても)、この量が適当であると判断してしまう。ということです。
つまり、「一人前」として出されたものは、これが適切なサイズと思い込んでしまいます。
みなさんもレストランに行った際に何かを注文して、ちょっと多いな(少ないな)と思うことはあっても、まぁこれが普通サイズか。と納得することが多いと思います。
これが「ユニットバイアス」です。
つまり、この「ユニットバイアス」のせいで、一人前として出されたものは少し多くても普通と見なして食べてしまいます。これが食べ過ぎに繋がってしまうのです。
実際、アメリカでは年々食べ物の提供サイズが大きくなってきており、1977年~1996年の間に
・ポテトチップスは28.4gから45.4 gに増加(93kcalの増加)
・ソフトドリンクは387.4mlから588.4mLに増加(49 kcalの増加)
・ハンバーガーは161.6gから198.4gに増加(97 kcalの増加)
・ポテトフライは87.9gから102.1gに増加(68 kcalの増加)
していたことがわかりました (5)。
※こういったこともアメリカで肥満人口が急増している原因の一つと考えられています。
このように知らず知らずのうちに一人前の量が多くなっているので、十分な注意が必要です。
まとめ
今回は「食べ物のサイズ」が私たちの食べる量に影響するということをお伝えしました。
繰り返すと、
・食べ物のサイズが大きくなるほど、食べる量が増える
・食べ物のサイズが小さくなるほど、食べる量が減る
ということでした。
また、これらの原因として我々は「一人前」として出されたものを適量と思う傾向があるため、ン前として多く提供され場合につい食べ過ぎてしまう、ということでした。
つまり、つい私たちが食べ過ぎてしまうのは、私たちの目の前にある食べ物のサイズが大きいからなのかもしれません。
こういったサイズが原因の食べ過ぎを防ぐために、カロリー表があればちゃんと一人前のカロリーをチェックしてみるのもいいですね。一人前と書いてあっても実は1.5人前分ぐらいの量だったりすることはよくあるので。
また明日、違った角度からの「食べ物のサイズによる食べ過ぎの原因」についてお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。
最後までご覧いただき有難うございました。
~参考文献~
1.Hollands, G.J., Shemilt, I., Marteau, T.M., Jebb, S.A., Lewis, H.B., Wei, Y., Higgins, J.P.T., Ogilvie, D., 2015. Portion, package or tableware size for changing selection and consumption of food, alcohol and tobacco. Cochrane Database of Systematic Reviews. https://doi.org/10.1002/14651858.CD011045.pub2
2.Lewis, H.B., Ahern, A.L., Solis‐Trapala, I., Walker, C.G., Reimann, F., Gribble, F.M., Jebb, S.A., 2015. Effect of reducing portion size at a compulsory meal on later energy intake, gut hormones, and appetite in overweight adults. Obesity 23, 1362–1370. https://doi.org/10.1002/oby.21105
3.Rolls, B.J., Roe, L.S., Meengs, J.S., 2006. Reductions in portion size and energy density of foods are additive and lead to sustained decreases in energy intake. Am J Clin Nutr 83, 11–17. https://doi.org/10.1093/ajcn/83.1.11
4.Geier, A.B., Rozin, P., Doros, G., 2006. Unit Bias: A New Heuristic That Helps Explain the Effect of Portion Size on Food Intake. Psychol Sci 17, 521–525. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01738.x
5.Nielsen, S.J., Popkin, B.M., 2003. Patterns and trends in food portion sizes, 1977-1998. JAMA 289, 450–453. https://doi.org/10.1001/jama.289.4.450