先日(といっても1か月前)、WHOから『アスパルテームの危険性およびリスク評価の結果』が発表されました。
その中で、「アスパルテームが発がん性の可能性のあるグループに分類」されたとして少し話題になりました。
アスパルテームとは、砂糖の200倍ほどの甘味があり、砂糖の代わりとしてお菓子やジュースに用いられている代表的な人工甘味料の1つです。
今回は、そのアスパルテームは避けたほうが良いのか?について、見ていきたいと思います。
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結論、そこまで気にしなくてよいのでは?
結論、個人的には今回のアスパルテームの発がん性の話についてはそこまで気にしなくてよいのではと思っています。
というのも、アスパルテームの発がん性もあくまで可能性があるかもぐらいですし、普通に生活している限り安全とされる量を超えることはまずないからです。
目安としては、体重70㎏の人だと、1日に9~14缶ほどコーラなどのジュースを飲むと安全量を超える計算になります。(それ以外からアスパルテームを摂取しない場合)

そういったことから、個人的にはアスパルテームの摂取を過度に気にしなくても良いのではと思っています。
アスパルテームについての実際の発表内容
以下が、WHOの公式サイトに掲載された『アスパルテームの危険性とリスク評価結果を発表』のポイントです。
ポイント
- IARC*1はアスパルテームの発がん性について、限定的な証拠があるとして「グループ2B」に分類。
- アスパルテームの0-40 mg/kg体重の許容量を再確認。70kgの大人が1日に9-14缶以上を摂取しない限り、安全。
- JECFA*2は癌のリスクについての証拠は「説得力がない」と結論。
- 今後も新しい証拠を監視し、消費者の健康影響との潜在的な関連についてさらなる研究が必要。
*1 FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)*2 国際がん研究機関
上記のように、アスパルテームが発がん性がある可能性を示唆する「グループ2B」に分類はされたものの、40mg/kgまでは安全としていますし、がんのリスクについても説得力がないとしています。
では、今回アスパルテームが分類されたグループ2Bについてもう少し詳しく見てみましょう。
IARCの発がん性分類とは?評価軸の話
国際がん研究機関では、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類を公表しています。(参照)
ただ1つ注意点としては、この分類は人に対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」を示すもので、対象の物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではありません。
発がん性分類
4つの分類は以下の通りです。
- グループ1:ヒトに対して発がん性がある。
- グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある。
- グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある。
- グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない。
という感じで、今回アスパルテームが分類されたグループ2Bは、発がん性を示す強いエビデンスがあるわけではなく、もしかしたら発がん性があるかも?ぐらいの分類になっています。
同様のグループ2Bには、わらびや漬物、揚げ物や熱い飲み物(65℃以上)なども入っているぐらいです。

また、発がん性がほぼ確実なグループAには、お酒やたばこなどあるので、それらを毎日摂取している人はアスパルテームの発がん性を気にするよりもそちらにもっと注意を払った方が良いかもしれないですね。笑
砂糖の代替として良い選択肢なのか?
アスパルテームの発がん性について、現状そこまで気にする必要はないことはわかりましたが、そもそもが砂糖の代替として利用されているという背景があります。
なので、砂糖よりも良い選択肢となりえるのかについて少し見てみたいと思います。
砂糖のIARCのグループ分類は?
今回アスパルテームが発がん性がある可能性があるとするグループ2Bに分類されたIARC発がん性分類ですが、調べたところ砂糖は対象となっておらず、分類がされていませんでした。
なので、同様の評価軸で比べることは難しそうです。
結論、、、○○がベター
結論、どちらもできるだけ取らないようにするのがベターかなと思います。
数々の研究で示されている砂糖の取りすぎによる弊害(肥満や糖尿病など)を考えると、アスパルテームがよさそうな気がしますが、アスパルテーム自体も肥満や糖尿病、心臓病などとの関連性が疑われていたりします。(参照)
最終的な結論を出すには、さらに詳しく調べた研究が必要ですが、まぁそもそもとる必要はあまりないので、どちらも積極的にとる必要はないかなと思います。
関連記事 肥満の原因は砂糖の摂りすぎ?本当に砂糖は太るのか。
アスパルテームの発がん性よりも〇〇に注意
アスパルテームの発がん性よりも注意しておいた方がよいことがあります。
それは、アスパルテームを含め人工甘味料と腸内環境の関係です。
2022年に学術誌Cellに掲載された研究では、人工甘味料が人の腸内細菌叢を乱し、血糖値コントロールを低下させることが示されたり。
また、別の研究では、人工甘味料によって大腸菌に毒性が発現することが確認され、人工甘味料の摂取によって腸内環境が悪化する可能性が示唆されたりで、
人工甘味料の摂取による腸内環境の悪化がちょくちょく指摘されています。

ただ、人工甘味料の腸内環境への影響は人によって異なるので、一概にすべての人の腸内環境を悪化させるとは言い切れないところはありますが、人工甘味料によって腸内環境が悪化するかもしれないという点は留意しておいてよさそうです。
特にアレルギー体質の方は腸内環境が非常に重要なので、特にお気を付けください。
まとめ
今回はWHOによって、発がん性のある可能性があるとされるIARC発がん性グループ2Bに分類されたアスパルテームの発がん性について少し詳しく見てみました。
結論、現状はそこまで怖がる必要はなさそうなものの、腸内環境への影響なども考えると進んで取る必要もないかなと考えています。
また、そもそもの代替となっている砂糖についても取りすぎによる健康への悪影響がかなりわかってきているので、アスパルテームをやめて砂糖に戻すみたいなこともあまり好ましくなさそうです。
結局は、どちらもできるだけ取らないようにしておくのが現状はベターかなと思います。