皆さんはビタミンDについてどのくらい知っていますか?
ある研究6で対象になった日本人の98%がビタミンD不足だったり、ビタミンD不足によって骨粗鬆症のリスクが上がったりすることは知っていましたか?
今回は、栄養素であるビタミン群の1つビタミンDについて、その働きや目安摂取量、摂取上限や不足した場合の影響などについて詳しく解説していきます。
タップできる目次
ビタミンDの概要

まずは簡単にビタミンDについて軽く解説していきます。
ビタミンDと一口に言っても、実はD2~D7の6種類あります。
ただし、D4~D7に関してはほとんど食品に含まれておらず、活性も低いことから一般的に活性の高いビタミンD2とビタミンD3の2つに大別されます。

サプリなどをみたことある方は、ビタミンD2, D3という表現を見たことがあるかと思いますが、そういった理由からなんですね。
ビタミンD3に関しては、食品から摂取して補給するだけではなく、日光(紫外線)に当たることによっても生成されます。
どのように吸収されるか
ビタミンDは小腸で吸収された後に肝臓や腎臓を経て活性型ビタミンDに変わり、体内で活用されるようになります。
また、ビタミンDは脂溶性なため、脂質と一緒に摂取するとより吸収されやすくなる性質もあります。
1日の摂取目安量
ビタミンDの1日の摂取目安量は、成人男性・女性ともに8.5μgです。2

ただし、この値は食事からの摂取であり、適切な日照暴露による体内でのビタミンD生成をある程度(5μg/日)している前提となります。
実際、カナダやアメリカの1日の食事摂取基準の推奨量は15μg/日と日本の倍ぐらいになっています。2
なので、適切に紫外線を浴びて生成されたビタミンDと合わせるとそれに近い数値(13.5μg)になります。
1日の摂取上限
ビタミンDの摂取上限に関しては、こちらも成人男女とも100μg/日となっています。2
ちなみに、日光に当たることによってもビタミンDが生成されるということから、日光に当たりすぎると過剰摂取(生成)につながる?とお考えの方もおられるかと思います。
これに関しては、生成量は皮膚で調整されており必要以上のビタミンDは紫外線への曝露によって生成されることはないので、ご心配は無用です。2

ただし、長時間紫外線を浴び続けることによる弊害(皮膚がんリスク増加など)はあるので、その点は注意しておいた方が良いでしょう。
ビタミンDの働き

ビタミンDの主な働きは以下のとおりです。3
- カルシウムやリンの吸収の促進
- 血中カルシウム濃度の維持
- 正常な骨の形成促進
- 脳と体をつなぐメッセージ伝達
- 免疫系のサポート
ビタミンDは骨の形成や体を動かしたり免疫が正常に働いたりするために大きな役割を果たしています。
詳しくはのちの「ビタミンDが不足すると?」で解説しますが、ビタミンDはカルシウムやリンの吸収促進を通じて骨の形成や維持に大きく関わっています。
したがって、不足することでカルシウム吸収の低下が起こり、骨が弱くなってしまうことがあります。
また、ビタミンDをしっかりと摂取していることによって、
など嬉しい効果もあるようです。
詳しくは以下で解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事 サプリ愛用者必見!ビタミンDの吸収率が爆上がりする超簡単な方法
ビタミンDの懸念点

ビタミンDの懸念点としては、過剰摂取による弊害が挙げられます。
具体的には血中ビタミンDの量が多くなりすぎた場合に、以下のような症状が出ることがあります。
ビタミンD過剰による症状
- 吐き気、嘔吐
- 食欲不振
- 便秘
- 脱力感
- 体重減少 など
また、ビタミンDの過剰摂取による高カルシウム血症を招き、錯乱や幻覚などを伴う脳の機能障害や筋力低下、不整脈などを発生させる恐れがあります。
なので、ビタミンDの過剰摂取には気をつけるようにしてください。
ビタミンDが不足すると?

ビタミンDが不足することによって、以下のようなことが引き起こされる可能性があります。2
ビタミンD不足の影響
- 発がんリスクの上昇
- 骨粗鬆症や骨折のリスク上昇
- 石灰化障害(小児ではくる病、成人では骨軟化症) など
上記のがんや骨折リスクの上昇は、軽度の不足からも誘発されることがあるので特に気をつけたい点です。
石灰化障害に関しては、ビタミンD欠乏の状態になると発生します。
ちなみに、ビタミンD不足と欠乏の違いですが、これは血中のビタミンDの量による基準が設けられています。
ビタミンD不足は血中25(OH)D濃度が20~30ng/mL未満に対し、ビタミンD欠乏は20ng/mL未満とされています。4
血中25(OH)D濃度とは皮膚からの生成と食事からのビタミンDの合計量を反映して変動する値で、ビタミンD総量(total)とも呼ばれビタミンDの栄養状態の検査に用いられる指標です。
日本人はビタミンD不足?
結論、日本人はビタミンDが不足しているといえます。
令和元年国民健康・栄養調査報告5によると、
- 男性(20~39歳)の平均摂取量は5.9~5.5μg/日
- 男性(40歳以上)の平均摂取量は6.4~10.9μg/日
- 女性(20~39歳)の平均摂取量は4.6~4.9μg/日
- 女性(40歳以上)の平均摂取量は5.4~9.0mg/日
となっています。
先ほど紹介した摂取目安量である8.5μgと比べると、この基準値以上を摂取できている年代もあります。
しかし、2023年の日本人を対象に血中を調査した研究6によると、検査対象の98%(5518人中5396人)がビタミンD不足(30ng/mL未満)であることが示されました。
驚きなのは、この98%中ビタミンD不足(20~30ng/mL)が1092人(19.8%)なのに対し、ビタミンD欠乏(20ng/mL未満)が98%が4334人で78.5%を占めていたという点です。

約8割の人がビタミンDの欠乏に陥っているのは恐ろしいですね。
自分もこの欠乏グループに入っているかもしれません。。。
食事からしっかりと摂れている場合でも、日光による皮膚での生成が十分でないなどの理由から、結果的にビタミンD不足や欠乏に陥っている可能性がありそうですね。
また、食事からの摂取も足りていない上に、日焼け予防などの観点から日に当たっていないという最悪の状況も若い男女の間では多いでしょう。
日光にあたることも大切ですが、特に食事からの摂取も大きく不足している若い男女は、以下で紹介するビタミンDが豊富な食材を積極的に日々の食事に取り入れてみてください。
ビタミンDが豊富な食べ物

ビタミンDは、魚介類、卵類、きのこ類に多く含まれています。
ビタミンDは脂溶性で脂質と一緒に取ることで吸収効率が上がるため、脂質を含んでいる動物性食品やきのこ類を油で調理して食べるなどするとより効果的にビタミンDを補給できます。
以下で、それぞれの分類で比較的日常的に摂取しやすい高ビタミンDな食材をまとめてみました。
ビタミンDが豊富な魚介類
食品名 | ビタミンD(㎍/100g) |
---|---|
あんこう きも 生 | 110 |
しらす干し 半乾燥品 | 61 |
かわはぎ 生 | 43 |
べにざけ 焼き | 38 |
まいわし 生 | 32 |
にしん 生 | 22 |
ビタミンDが豊富な卵類
食品名 | ビタミンD(㎍/100g) |
---|---|
鶏卵 卵黄 生 | 12 |
鶏卵 全卵 目玉焼き | 3.9 |
鶏卵 全卵 ゆで | 2.5 |
ビタミンDが豊富なきのこ類
食品名 | ビタミンD(㎍/100g) |
---|---|
きくらげ 乾(ゆで) | 85(8.8) |
まいたけ 乾(油炒め) | 20(7.7) |
エリンギ 焼き(ゆで) | 3.1(2.6) |
ぶなしめじ ゆで | 0.9 |
えのきたけ ゆで | 0.8 |
ビタミンDサプリも選択肢

上記でビタミンDが豊富な食材を紹介しましたが、サプリから摂取するのも1つの手です。
というのも、上記で紹介した食材はビタミンDが豊富なもののそこまで数が多くなく、毎日食べるのに苦労しがちだからです。
先ほど述べた日本人の約8割が欠乏しているというのも、日に当たる時間が減っていることに加えて、こうしたビタミンDが豊富な食材が比較的少ないということもありそうですね。
なので、より意識して日にあたる(日焼け対策をして)こと、もしくはサプリからビタミンDを補給するのも良さそうです。

ちなみに私はビタミンDサプリを飲んでいます。
関連記事 サプリ愛用者必見!ビタミンDの吸収率が爆上がりする超簡単な方法
この記事で紹介しているビタミンDサプリに関する情報は、一般的な知識として提供されています。これは医療アドバイス、診断、または治療として解釈するべきではありません。
サプリメントの使用は個々の体調や健康状態により効果が異なる場合があり、過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。ビタミンDサプリを摂取する前に、必ず医療専門家や栄養士と相談してください。
また、妊娠中、授乳中、既存の健康問題がある場合や、他の医薬品を服用している場合は、特に医療専門家との相談が必要です。
この記事の情報に基づいて行動を取る前に、専門家のアドバイスを求めることを強く推奨します。
日本人の98%が不足しているビタミンDをしっかり補給しよう:まとめ
まとめ
- ビタミンDは骨の形成や神経伝達、免疫系のサポートなど様々な役割を果たしている
- 日に浴びることで体内で生成され、1日の食事からの摂取目安は8.5μg
- 摂取しすぎると吐き気や食欲不振などの症状が出ることがある
- ある研究では日本人の98%がビタミンD不足で、不足によって骨粗鬆症や骨折のリスクが上がる
- 魚介類やキノコ類がビタミンDが豊富
今回はビタミン群の1種であるビタミンDについて解説しました。
ビタミンD不足による骨粗鬆症や骨折リスクの上昇やガンのリスク上昇など健康への影響がかなり大きいにも関わらず、2023年の研究で対象日本人の98%がビタミンD不足であるのが判明しました。
私含め、皆さんも気付かぬうちにビタミンD不足に陥っているかもしれないので、お気をつけくださいませ。