以前「市販の植物油はやばい」というお話をしました。
その話の中でおすすめしたのが、オリーブオイル。
そこではオリーブオイルの健康効果が高いことをお伝えしましたが、他にも優れているポイントはあります。
ということで、今回はオリーブオイルはなぜ良いのかについて解説していきます。
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今回は2018年に発表された論文を参考に解説していきます。
油の酸化と加熱の話
オリーブオイルが良い理由を話す前に、油の加熱と酸化について少しお伝えします。
油が酸化する原因はさまざまですが、代表的なものが加熱です。
酸化とは、物質が電子を失うことと定義されています。
身近な例としては、クギが錆びたりりんごの切り口が黄色くなったりすることなど。
今回はこの加熱と酸化がカギになります。
油が酸化するとどうなる?
油が加熱されて酸化することで、極性化合物と呼ばれる有害な物質が発生します。
極性化合物とは、遊離脂肪酸、低分子分解物、重合物など劣化による生成物のすべてを指し、油脂の品質の指標とされます。
こういった有害な物質を油と一緒に体内に取り込んでしまうため、酸化した油はよくないと言われています。
実際、酸化した油の継続的な摂取は動脈硬化やリウマチ、ガンなどと関係していると指摘されていたりします。(参照)

油を加熱した実験の話
で、今回の研究は加熱によって食用油がどれくらい酸化や劣化するのかを調べてくれていて、酸化しにくい油選びの参考になりそうです。
簡単に解説していきます。
研究内容
まずざっくりとした研究内容から。
今回の研究では、
- オーストラリアのスーパーに売ってある油10種類を集め、
- それらを240度まで加熱した場合と180度で6時間加熱し続けた場合の酸化や劣化具合を検査
といったことが行われました。
ちなみに、検査された10種類の油は以下の通り。
- エクストラバージンオリーブオイル
- バージンオリーブオイル
- オリーブオイル
- キャノーラオイル
- ぬか油
- グレープシードオイル
- ココナッツオイル
- ピーナッツオイル
- ひまわり油
- アボカドオイル
【結果】酸化と劣化に強い弱い油は...
上記の方法で調べられた結果、総合的に見るとエクストラバージンオリーブオイルが最も優秀だった模様です。
まぁ多少似たり寄ったりではありますが、エクストラバージンオリーブオイルは
- 高温にさらしても有害物質が出にくい
- 高温にさらしても酸化安定性が高い
ということが示されています。
具体的には、180℃まで加熱してもほぼほぼ極性化合物の量が変わらず、酸化安定性も一定に保たれていました。

なぜオリーブオイルは熱や酸化に強いのか
ではなぜオリーブオイルが熱に強く酸化しにくい理由として主に
- 一価不飽和脂肪酸が多い
- 抗酸化物質やビタミンEが多い
ということが挙げられます。
それぞれ解説していきます。
酸化に強い理由①:一価不飽和脂肪酸が多い
オリーブオイルには、オレイン酸と呼ばれる一価不飽和脂肪酸が多く含まれています。
大体7~8割ぐらいがこのオレイン酸で構成されています。
この一価不飽和脂肪酸は、他の植物油に多い多価不飽和脂肪酸よりも熱に強い特徴があるため、他の油より熱に強く酸化しにくいのです。(参照)
酸化に強い理由②:抗酸化物質やビタミンEが多い
またオリーブオイルは酸化そのものを抑制する働きのある抗酸化物質が豊富です。
なので、酸化そのものに対して抵抗力が高く、酸化しにくいのです。
また、抗酸化作用の強いビタミンEも豊富に含まれていることも酸化に強いとされる要因の一つ。
実際、1999年の実験ではビタミンEが多いオリーブオイルと少ないオリーブオイルを熱に晒した場合、ビタミンEが多い方が酸化しづらかったことが示されています。
こういった抗酸化力のある物質がオリーブオイルには豊富なため、熱によっても酸化しづらいのです。
オリーブオイルの選び方と使い方
オリーブオイルは酸化や熱に強いとはいえ、どれでもいいというわけではありません。
質の低いものを選んでしまうと他の油と同じように酸化や劣化してしまう可能性もあります。
なので、オリーブオイルを購入するときは以下の5つのポイントに注意して選んでみてください。
- エクストラバージンか
- コールドプレスか
- ボトルはガラスか
- 収穫から24時間以内に絞っているか
- IGPかDOPがついているか(おまけ)
これらの詳しい解説は、また別の記事でしていきたいと思います。
が、とりあえずエクストラバージンでガラスのボトルに入っているものを選ぶようにすると良いでしょう。
あと、できればコールドプレスと書いてあるもの。
オリーブオイルの使い方
オリーブオイルは生でも加熱調理にも使えるので、値段によって使い分けるのがおすすめです。
例えば、価格が比較的安いものは加熱調理に使い、高価なものはドレッシングなどとしてサラダにかけて食べるのが良さそうです。
というのも、高価なものであるほど抗酸化物質や栄養素が豊富に残っている傾向があるため、それらを加熱などで失わないためにも生で取るようにしたいです。
また、ドレッシングとして使う場合は少ない量で済みますし、一気に使い果たさずに済みます。
まだ使ってない?オリーブオイルは最強です:まとめ
普段の調理には欠かせない油ですが、気をつけたおかないと不必要に酸化を招き健康を害する物質を摂取してしまうことがあります。
特に市販の植物油は熱によって酸化してしまうものも多いため注意が必要です。
ただ、質の良いオリーブオイルであればそれらに比べ熱による酸化がしにくいということが指摘されています。
なので、生でも加熱でも使えるオリーブオイルは最強なのです。
栄養素も豊富ですしね。
ということでぜひ一家に一本オリーブオイルを備えておきましょう。