オリーブオイルは料理の風味を引き立てるだけでなく、健康にも多くの効果をもたらす貴重な食材です。
間違った保存方法でオリーブオイルを使っていると、風味や健康効果が大きく減少してしまうこともあるため、その価値を最大限に活かすためには、適切な保存方法が必要です。
本記事では、科学的根拠に基づいて、オリーブオイルを最良の状態で保存する方法を解説します。
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保存方法が大切な理由は?

オリーブオイルの保存方法に気をつけるべき理由は、適切に保存しない場合にオリーブオイルの品質が低下するからです。
具体的には、
- オリーブオイルの酸化が加速する
- オリーブオイル内の抗酸化物質が減少する
といったようなことが起こります。
酸化したオイルが良くない理由は、風味の低下やよろしくない物質(フリーラジカルなど)を生成し、体にとってうれしくない油と変わってしまうためです。

フリーラジカルは細胞やDNAにダメージを与え、心疾患やがんなど様々な病気の発症に影響を与えると言われています。
また、オリーブオイルのポリフェノールなどの抗酸化物質が減少することで、オリーブオイルに関連する健康効果も低減してしまう可能性があり、これも嬉しくありませんね。
なので、せっかく健康効果の高いとされる油を摂ろうとしているのに、知らぬまに体にとって嬉しくない油をとってしまっていた!なんてことにならないために、適切に保存することが大切になるのです。
オリーブオイルを保存する容器は何がベストか?

まず結論ですが、オリーブオイルを保存する容器は以下の特徴がベストとされています。
- 暗い色(深緑や黒)の
- ガラス製で
- 光が当たらない暗い場所で
- 涼しいところ
では、なぜこれらの要因がオリーブオイルを保存する際に重要になるかを説明するために、オリーブオイルの質に影響を与える3つの要素について解説していきます。
オリーブオイルに影響を与える3つの要素

以下の3つがオリーブオイルの品質に影響する主な要素です。
品質に影響する3要素
- 光
- 酸素
- 温度
それぞれ以下で解説していきます。
オイルの品質に影響する要素『光』
オリーブオイルは光に当たることで、さまざまな側面で品質の低下を招いてしまいます。
例えば、保存時にオリーブオイルが光に暴露することで抗酸化物質が減ってしまいオリーブオイルの健康効果が低減してしまいます。1
また、酸化や風味の劣化が加速してしまい、せっかくのオリーブオイルが美味しくない、体にも良くないものに変化してしまうこともあります。2

なので、オリーブオイルを保存する際は、光の影響をできるだけ減らすことが大切になってきます。
オイルの品質に影響する要素『酸素』
酸素もオリーブオイルの品質に影響を与える要素の1つで、主にオイルの酸化に影響します。
オリーブオイルが酸素に触れることで、脂質の酸化が始まり、オリーブオイルの品質劣化につながり、安定性や日持ちの低下につながります。3

なので、オリーブオイルをできるだけ酸素と触れ合わないようにすることが品質を長く維持する上で大切になります。
オイルの品質に影響する要素『温度』
温度も、これまでの光や酸素と同じく、オリーブオイルの品質を低下させる要因の1つとなります。
温度が高い状態でオリーブオイルを保存することによって、オイルの酸化を加速させ風味の低下につながります。
例えば、6℃と26℃の2つの条件下でオリーブオイルを保存した研究によると、26℃で保存されていたオイルには酸化による腐敗風味が顕著になったことが示されています。4

なので、オリーブオイルを保存する際には、温度にも気をつけておく必要があるわけです。
オリーブオイルを保存するベストな方法の根拠

冒頭で、オリーブオイルを保存するには
- 暗い色(深緑や黒)の
- ガラス製で
- 光が当たらない暗い場所で
- 涼しいところ
がベストであるとお伝えしました。
で、オリーブオイルの品質に影響を与える3つの要素(光、酸素、温度)についても解説しました。
もうなんとなく上記の4つの条件が良い理由はわかっているかも知れませんが、以下でそれぞれどういった効果があるかを解説していきます。
【容器の色】暗い色(深緑や黒)がもたらす効果
オリーブオイルを保存する際に、暗い色の容器で保存することで、オイルが受ける光の影響を緩和することができます。
2015年の研究5では、透明の容器と黒色の容器で180日間でどのようにオイルの品質が変わるのかを比較した結果は以下の通りです。
異なる色のグラス容器で比較すると...
- 75日後では、酸化度合いはそこまで変わらない
- が、抗酸化物質(カロテンやフェノールなど)の量は透明の容器で大きくて低下
- 180日後では、透明の容器の場合は抗酸化物質の低下だけではなく酸化度合いも急激に増加
- 暗いグラス容器の場合は、抗酸化物質の量は緩やかに低下し、酸化度合いも緩やかに上昇
日が経つにつれ、どちらの色の容器でも品質は劣化してしまうものの、オイルの劣化スピードは明らかに透明の容器の方が早いみたいですね。

なので、容器の色はオイルの劣化を緩和するために大切というわけですね。
【容器の材質】ガラス製がもたらす効果
オリーブオイルをガラスの容器で保存することによって、オイルの酸化を和らげることができます。
先ほどと同じ研究5によると、透明のガラス容器とプラスチック容器で180日間でどのようにオイルの品質が変わるのかを比較した結果、
異なる材質の容器で比較すると...
- 抗酸化物質(カロテンやフェノールなど)の量は、プラスチック容器の方が微妙に低下が大きい
- 180日後では、ガラス容器よりもプラスチック容器は大幅に酸化度合いが増加していた
ことが示されています。
また2010年の研究6でも同様に、透明のガラス容器で保存した場合はプラスチック容器で保存した場合に比べ、酸化度合いが低いことが示されています。

なので、容器の材質を正しく選択することは、オイルの酸化を緩和するために欠かせないというわけです。
【光】暗い場所の効果
光がオリーブオイルに与える影響については先ほど『オリーブオイルに影響を与える3つの要素』の中で解説しました。

光にあたることによって、オイル内の抗酸化物質が減ったり、酸化や風味の劣化が加速するのでしたね。
この光の影響を抑えるために暗い色のガラス容器が良いことはここまでで説明しました。
でも実は、これらに加えて光が届かない暗い場所に保存することでさらに品質の維持ができるのです。
実際、2012年のオーストラリア政府による論文7によると、同気温下で暗い場所と光が当たる場所で3年間保存し比較した結果、光が当たる場所で保存した場合の方が、抗酸化物質の低下や風味の劣化が顕著だったことがわかっています。

なので、暗い色のグラスに加え、光が当たらない引き出しや棚にしまっておくのがベターと言えそうです。
【気温】涼しいところに置く効果
最後は、涼しいところで保存することの効果を解説します。
結論、これまでのガラスや容器の色、暗い場所と同様に、気温ができるだけ低い場所で保存することで、よりオイルの品質を保ちながら保存することができます。
先ほどのオーストラリア政府の論文7で、3つの温度(15℃、22℃、37℃)で保存した場合のオリーブオイルの品質の変化が調べられていました。
結果としては、気温が高いほど風味の劣化や抗酸化物質の減少が大きいことが示されています。
また別の研究6でも同様に、異なる気温下(13℃、22℃、35℃)での保存の影響を調べた結果、気温が高いとオイルの酸化が加速し、風味の低下につながることが示されていました。

なので、できるだけ温度が低いところで保存しておくことが大切になります。
で、どのオリーブオイルが良いのか?

ここまでオリーブオイルの保存方法について解説してきましたが、オイルの品質が低いものを買って適切に保存したところでそもそも低品質なので、あまり意味がありません。
なので、高品質のものをちゃんと選ぶ必要があります。

特に、オリーブオイルはピンキリなので、しっかりと選ぶ必要があります。
おすすめのオリーブオイルは以下の記事でいくつか紹介していますが、個人的には以下の2つでOKかなと思います。
どちらも、ポリフェノール量が多く、カークランドのものは第三者機関による品質チェックで高評価を得ています。
ただしカークランドのものはプラスチック容器ですが、2000mlと大容量なのでよく使う分は別のガラス容器などに入れ替えて使うようにしておけば良いでしょう。

ガルシアのものより少しだけ安いので、その辺りのバランスですね。
関連記事 高品質で安全性の高いエクストラバージンオリーブオイルまとめ
オリーブオイルは光、酸素、高温から避けて保存:まとめ
まとめ
- 光、酸素、高温の3要素がオリーブオイルの天敵
- 天敵から守るには、暗い色のガラス容器で涼しい日陰の場所で保存する
- 高品質なオリーブオイルとして、ガルシアまたはカークランドがおすすめ
今回は、オリーブオイルを保存するベストな方法について解説しました。
気付かぬうちに酸化してしまい風味や健康効果が低下しないように適切に管理し、オリーブオイルの健康効果を存分に享受していきましょう。
参考文献
1 Influence of the exposure to light on extra virgin olive oil quality during storage Eur
2 Effect of containers on the quality of Chemlali olive oil during storage
4 The effects of packaging and storage temperature on the shelf-life of extra virgin olive oil
5 Evolution of Extra Virgin Olive Oil Quality under Different Storage Conditions
7 The Effect of Storage Conditions on Extra Virgin Olive Oil Quality